シャープ

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シャープ株式会社Sharp Corporation、旧社名 早川電機工業)は大阪府大阪市阿倍野区長池町に本社を構える総合家電メーカーである。液晶の応用技術を軸とした製品で世界トップクラスの技術力を誇る企業としてその名を知られている。商標SHARP

歴史

1912年早川徳次東京で創業。徳尾錠というベルトのバックルの発明が始まり。1915年、金属製繰出鉛筆(早川式繰出鉛筆)を発明。販売開始後、商品名をエバー・レディ・シャープ・ペンシルに変えた。米国で爆発的にヒット。現在の社名はこれに由来する。

1923年関東大震災によりシャープペンシル工場を焼失する。家族もすべて失い、大阪へ移り再起を図った。

1925年鉱石ラジオをシャープの名前で発売。戦後、総合家電では松下電器産業ソニーが台頭し、営業・販売力においてこの2社に圧倒的な差を付けられていた上、静岡県でシャープ製のテレビが突然発火して大火事になった事件などもあり、低迷の時代が続いた。

しかし、1962年には日本家電企業で初めて電子レンジを発売(当初は業務用)し、1966年には世界初のターンテーブル方式の電子レンジを開発する。

さらに1964年にはオールトランジスタダイオードによる電子式卓上計算機(世界初)を開発。その後、カシオ計算機などとの電卓戦争の中で、表示部品としての液晶技術の開発を始め、1973年液晶を表示装置に使ったCMOS化電卓(世界初)を開発する。

この間、1963年太陽電池の量産を開始している。太陽電池は世界2位のシェアである。なお、一般の電池(乾電池二次電池など)は生産していない。

シャープの強みのある製品は他にはファクシミリ、パソコン並みにモデルチェンジをする電子辞書、カシオと競い合う電卓、電子レンジ、近年ではコピーなどの複合機、液晶テレビAQUOS、AQUOS携帯電話などユニークな製品がラインナップしている。また、独創的な商品開発で知られ、1978年パーソナルコンピュータMZ-80Kや1979年のフロントローディング(ビデオカセットを前面から出入する)式VHSビデオデッキや、ステレオダブルカセットレコーダーなどのダブルカセットデッキ(後に2台並列だけではなく同軸型のもシャープが発売した)を発売したのを始め、1982年のパソコンテレビX1、1987年のパーソナルワークステーションX680001992年の液晶ビューカム、1993年ザウルス1999年MPEG-4カメラやカラー液晶(STN方式)搭載携帯電話J-SH02(いずれも世界初)、2000年の初のデジタルカメラ内蔵携帯電話J-SH04と初のTFT方式カラー液晶搭載携帯電話J-SH05、2002年SDメモリーカード対応機J-SH51(J-フォン、現・ソフトバンクモバイル向け)、2004年の世界初光学ズーム対応V602SH(Vodafone、現・ソフトバンクモバイル向け)、2005年の世界初G2モーションコントロールセンサー対応機であるV603SH(Vodafone、現・ソフトバンクモバイル向け)、QWERTY配列キーボードを搭載したスマートフォンであるW-ZERO3ウィルコム向け)、2006年の携帯電話で世界初VGA対応の904SH(Vodafone(→SoftBank)向け)、2009年の携帯電話で世界初ソーラーパネルおよびIPX5/IPX7(旧JIS保護等級)相当の防水機能を搭載したSH002KDDI沖縄セルラー電話(各auブランド)向け)、1ビットデジタルアンプ、クラスターイオンによる空気浄化技術(世界初)、そしてデジタルチューナーを搭載したDVDレコーダーなど、業界初や世界初の商品を数多く送り出している。

現在は、電卓戦争の頃から業界を牽引して来た液晶ディスプレイ技術に強みを持つ。2009年3月期決算では、液晶テレビおよび液晶パネル価格の大幅な下落、保有するパイオニア株の大幅な下落による評価損、金融危機に伴う世界的な電機製品の大幅な需要減退、販売方式変更に伴う国内携帯電話市場の大幅な冷え込み、により最終損益1300億円の赤字を計上した。これは、同社上場以来初の赤字決算である。現社名は1970年1月1日に制定した。なお、早川電機時代のシンボルマーク(楕円形にSharp)は現在でも正式な社章となっている。SHARPのロゴマークは1986年まで三洋電機が使っていたものとフォントがほとんど同じである(明らかな『パクリ』)。

経営危機(2012年)

シャープの株価推移

先ごろ発表した2013年3月期第1四半期(2012年4~6月)業績は、売上高が前年同期比28.4%減の4586億円、営業利益は941億円の赤字、経常利益は1038億円の赤字、純利益は1384億円の赤字。

さらに、第1四半期の厳しい業績を受けて、通期業績見通しも下方修正した。売上高は4月公表値に比べて2000億円減の2兆5000億円、営業損失が同1200億円減の1000億円の赤字、経常損失が同1200億円減の1400億円の赤字、当期純損失が2200億円減の2500億円の赤字とした。

2012年3月期には3760億円という過去最大の最終赤字を計上したが、2013年3月期も2500億円という大きな赤字を計上することになる。

第1四半期のAV・通信機器の売上高は54.9%減の1341億円、営業利益が前年同期の75億円から202億円の赤字に転落。そして、液晶の売上高は前年同期比22.4%減の1459億円、営業利益が前年同期の46億円の赤字から634億円の赤字に拡大。営業損失の3分の2を液晶事業が占めていることになる。

液晶事業がこれだけ悪化した要因はなにか。ひとつは、なんといってもテレビ向けの大型液晶の不振だ。

第1四半期には、市場における需要減と在庫消化を優先したことによって、大型液晶パネル生産の堺工場の操業率が約30%にまで低迷。さらに、価格下落による追加コストの発生もそれに追い打ちをかけた。

堺工場は、稼働率が10%落ちると100億円の影響があるといわれており、操業率が30%に留まっている状態は業績悪化に大きな影響を及ぼす。単純計算を当てはめるわけにはいかないが、もし、100%の稼働率であれば、634億円の液晶事業の赤字は埋められる計算式が成り立つ。

また、2012年3月から9月までの半年間で600億円の在庫を処分するといった荒療治も行っており、これも赤字の大きな要因となっている。

実は、あまり報道されていないが、堺工場はまだ敷地が半分ほど余っており、そこに新たな生産棟を建設することができる。そこまで視野に入れた投資を行った生産拠点だけに、いまの状況は当初の思惑から大きくズレていることがわかる。

堺の大型液晶工場は、鴻海グループによる出資などにより、オフバランス化するといった思い切った手を打つことで、鴻海グループへのパネル割当などを実施。第3四半期以降は80~90%の稼働率になると見込んでいる。

2つめが、収益の柱と見込んでいた中小型液晶パネルの不振だ。中小型液晶パネルについては、車載とスマートフォン向けを中心に生産している多気工場、天理工場はフル操業となっているが、亀山工場での不振が目立つ。

とくに収益回復の切り札としていたIGZO液晶の生産が遅れたことが響いている。今年3月からようやく量産を開始したものの、顧客先で進めていたデザインインが、商品化のずれ込みにより影響を受けた。関連して大口顧客からの受注減で稼働率が低迷。第1四半期も稼働損が出るという状況だ。

「この亀山工場での操業損は、通期の収益計画にも影響が残る」という水準だ。

亀山第1工場については、8月からスマートフォン向け専用工場として量産を開始。亀山第2工場でも今後、IGZO液晶の量産を加速させる姿勢をみせる。

「タブレットやウルトラブックなどに求められる、高精細、低消費電力といったIGZOならではの特性を生かしたい。Windows 8の発売なども追い風になる。2012年度下期から13年度にかけては新たなモニタやウルトラブックなどの需要が拡大すると見込んでいる」(奥田社長)と、IGZO液晶の需要拡大に期待を寄せている。

中小型液晶の立ち上がりがどうなるのかが、ポイントのひとつだ。

そして、もうひとつの誤算は、液晶事業に携わっていた人材が分散したことによる組織の弱体化だろう。

片山幹雄前社長(現会長)は液晶事業の出身。自らが経営を担っていた際に、液晶事業を担当していた人材を主要ポストに配置した。とくに課題となっていた海外事業の拡大において、こうした傾向が強く見られていた。

シャープ全体の経営を遂行する上では適切な判断だったのだろうが、これがシャープの液晶事業にはマイナスになったと捉えざるを得ない。実は、今年8月3日の組織改革および人事異動で、シャープは液晶事業の強化に乗り出している。

液晶を担当するディスプレイデバイス事業統括の傘下に、ディスプレイ開発本部、ディスプレイ事業本部、海外生産推進本部を置き、さらにディスプレイ事業本部には、ディスプレイデバイス第1生産本部、同第2本部、同実装生産推進本部を新設し、これらの本部の拠点を亀山工場内とした。

そして、この人事異動で、かつて液晶事業を担当していた人材を呼び戻し、液晶事業の再生に取り組もうとしている。海外事業経験者や製品事業経験者を呼び戻すことで、IGZO液晶の立ち上げで遅れた顧客先とのデザインインの作業を、顧客視点で展開できるようにするという狙いもあるだろう。

液晶事業には片山会長ほど精通していない奥田社長だからこそ、シャープ再生の核となる液晶事業にキーマンを配置し直したという言い方もできる。この組織改革が液晶事業の業績回復の切り札になるのか。これからの注目点のひとつともいえる。

経営危機になった簡単な経緯

シャープ(液晶) ソニー(家電)で合併交渉中

ソニー「よう」
シャープ「誰だお前」
ソニー「なんだと」

交渉決裂。ソニーはサムスンと合弁。

ソニー「サムスンだけじゃ液晶足りねえよ」
シャープ「金出せばうちが足りない分を作ってやるよ」
ソニー「じゃあ部分提携な」

提携スタート

ソニー「納入まだかよ期限過ぎてるぞ」
シャープ「うっせーなアクオス作ってんだよ」
ソニー「くそったれ」
サムスン「おら液晶パネルだ期限通り作ってやったぞ」
ソニー「おお偉いなサムスン、もうお前の所で全部頼むわ」

ソニー、シャープから離れる。

シャープ「アクオス売れなくなったぞどうしよう堺工場」
東芝「うちに作ってくれよ」
シャープ「よっしゃ」
東芝「納入まだかよ期限過ぎてるぞ」
シャープ「うっせーなアクオス作ってんだよ」
東芝「うちが先だろ」
シャープ「エコポイント需要がすげえんだって今」
東芝「だからこっちも急いでんだよ」
シャープ「ばーか」
東芝「死ね」

東芝、シャープから離れる

シャープ「アクオス売れなくなったぞどうしよう堺工場」
シャープ「誰か助けてくれ!」

「ゾンビ経営者」と酷評されたシャープ歴代首脳たちの夏…失われたオーラ、社費で海外、呼ぶ憶測

経営再建中のシャープで“ゾンビ経営者”と株主らに批判された社長経験者たち。経営危機を招いた過去との決別を目指す高橋興三社長は、迅速な経営判断を下すため自身への権限集中にこだわりをみせるが、会長、特別顧問、技術顧問(フェロー)として社内にとどまった歴代の首脳は今夏、どう過ごしているのだろうか。

前社長は黒衣

「液晶事業の改善が大きく寄与した。回復基調に入ってきた」。

8月1日、平成25年4~6月期の連結決算を発表した高橋社長は、安堵の表情を浮かべた。

本業のもうけを示す営業損益は30億円の黒字を確保し、941億円の赤字だった前年同期から大幅に改善した。6月末に就任した高橋社長にとって、「前社長の奥田隆司会長の敷いたレールにほぼ乗っただけ」(関係者)ともいえるが、円安効果で太陽電池事業が黒字転換したうえ、人件費などの固定費削減などリストラ効果も利益を押し上げた。就任後初の決算発表をひとまず無難に乗り切った形だ。

その奥田会長の近況はどうだろう。奥田氏は“ゾンビ経営者”と批判されたわけではないが、社長在任中は前社長・元社長の影響力を排除できず、思ったほどの実績を残せなかった。

会長とはいえ代表権はなく、「経営に対し、ごちゃごちゃというつもりはない」と明言している。関係者は「業界団体の活動を引き受け、高橋社長の負担をなるべく肩代わりすることに腐心している」と打ち明ける。

最近は、地方の事業所や生産拠点を回って従業員を励ましたり、家電量販店など得意先を回ったりすることに時間を費やしており、高橋新体制を陰で支える黒衣役に徹している。

棒読みと沈黙

それでは特別顧問の2氏は-。

4代目社長の町田勝彦氏については、経営悪化の責任を踏まえ、一時は完全引退も検討されたが、大阪商工会議所の副会頭を兼任することから、「財界活動には会社の肩書が必要」と判断され、「相談役」を退くも、無報酬の「特別顧問」に就任した経緯がある。

7月19日には、大阪市中央区の大商で開かれた正副会頭会見に出席。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に対する所感を聞かれ、「エアコン販売が好調で、大型テレビの単価が上がるなど国内の家電販売が安定してきた」と発言した。

関係者によると、発言は事前に準備した原稿を棒読みしたように聞こえたという。数年前までカリスマ経営者と呼ばれた“オーラ”は失われていた。

特別顧問には専用の秘書や送迎車がなく、大商への送り迎えが社内で問題になった。タクシーで行き来してもらうことも検討されたが、マスコミの目にさらされることなどを考慮して結局、空いていた社用車を使用したという。

3代目社長の辻晴雄氏。特別顧問のままだが、本社の役員フロアにあった専用執務室は町田氏の部屋とともに撤去された。本社の別棟に町田氏との相部屋が用意されたが、最近は姿を見せることはない。

関係者は「もともと現経営陣に影響力を行使することを避けてきた人物。今回の経営危機を招いた時期には既に一線を退いており、むしろ現経営陣が助言を請いたいと特別顧問にとどまった」と解説する。

海外出張に憶測

最後に、5代目社長で技術顧問(フェロー)に就任した片山幹雄氏。

経営者としては株主総会で「いることが害だった」と痛烈に批判されたが、液晶技術では社内トップレベルの知識を誇り、液晶関連の特許を保有していることで知られる。こちらは無報酬の特別顧問と違い、規定に従って一定の報酬を受け取る技術顧問にとどまり、株主総会後に執務拠点を天理工場に移した。

社長を退き、代表権を返上した昨春以降、会長として米クアルコムや韓国サムスン電子との出資交渉をまとめ上げた功績を内外にアピール。

当時、海外担当副社長として片山氏の交渉の場に同席した高橋副社長。しかし、「(片山氏の)カバン持ち」「ハンコ持ち」のイメージが広がっていることに不快感を隠さず、現在は、記者が片山氏について質問すると「天理にパージ(追放)した」と苦々しく語るという。

片山氏は最近、社費を使って米国をはじめ海外出張によく出かけているという。技術顧問だけに名目は技術関連の視察や研究といったものになっているが、関係者の間では「何が目的かわからない。思い出旅行か、はたまた就職活動か」と憶測を呼んでいる。

30代社員「地元では一生安泰だと言われた。リストラ対象になって人生設計完全に狂った」(2012年8月)

深刻さを増すシャープの経営危機。グループの社員5万7000人を待ち受けるのは、給与削減か、リストラか、台湾企業による苛烈な支配か、それとも倒産か――。長引く不況円高から抜け出せない日本経済にあっては、あらゆるサラリーマンにとって無縁の話ではない。

縮小が発表された栃木工場に勤務する30代後半のAさんは深い溜め息をついた。

「地元ではシャープに入れば一生安泰だといわれてきた。描いていた人生設計が完全に狂ってしまいました。工場では約1600人の従業員のうち、AV事業に携わる1500人から希望退職者を募ると聞いています。地元で採用された人間全員がリストラ対象ということらしい。子供はまだ小学生でこれからもっと教育費がかかる。この田舎に再就職先なんてないのに、どうしたらいいのか……」

社員の平均年収は700万円超で、福利厚生も充実――ところが、今年に入って急転直下、極寒の冬に突入する。

シャープは8月28日、グループで2000人の希望退職者を募集することを発表した。今年度中にグループ合計5万7000人の社員のなかから5000人を削減する計画だ。   理由は先に挙げた主力3事業の失速である。特に液晶テレビ事業は韓国メーカーにシェアを奪われた。そこにリーマン・ショック家電エコポイントの終了なども重なり、約4300億円をつぎ込んで2009年に稼働を始めた大阪・堺の世界最大の液晶パネル生産工場は稼働率3割程度に落ちこむ。在庫の山が積み上がり、業績はどん底まで落ちた。

大手銀行幹部がいう。

「5000人のリストラ、栃木工場(栃木・矢板市)や葛城工場(奈良・葛城市)の縮小などで財務改善するようだが、銀行団が継続的に融資するためにはまだ足りない。リストラは1万人規模にする必要があるし、中国メキシコなどの海外工場の売却も早急に検討すべき。コピー機などの情報機器事業やエアコンなどの空調事業を切り売りすることも考えなくてはならない」   社員は数千万円の住宅を購入し、子供を私立学校に入れているケースも多い。老後は豊かな年金で、妻と旅行三昧という悠々自適な生活を描いていた人もいるだろう。そんな将来設計はもろくも崩れ去った。

シャープ社員の家計“火の車”!月給&ボーナス壮絶カット(2012年9月)

経営再建中のシャープが社員の月給とボーナスの大幅カットに乗り出した。今冬と来夏の従業員の賞与を今夏比で50%削減し、給与についても来年9月までの間、管理職以外の一般社員で5月から始めた月給の2%カットを7%カットに拡大させる。

もはや背に腹は代えられない。賞与と月給カットの対象となるのは、シャープの連結対象に含まれる国内従業員のうち同一給与体系で働く約2万7500人。一般社員の賞与は業績連動だが、これを半減させる。2010年時点の賞与額は夏冬それぞれ組合員平均で72万8987円だった。これ以降の支給額は非公開としている。

月給については7%カットに。時間外手当なども法定基準まで下げ、出張手当の減額や福利厚生制度の一部休止も行う。

2012年3月末の従業員の平均年間給与は706万5000円(平均年齢41.9)となっている。

一般社員の賞与・給与については9月11日に労働組合に申し入れ、9月中に組合からの回答を待つ。

本社課長以上の管理職の賞与は今夏すでに30%減額しているが、今冬と来夏にさらに今夏比50%減額し、昨冬比ではほぼ3分の1に。月給は4月から始めた5%カットを10%カットに拡大する。

ちなみに役員は今夏から賞与を全額カット済みで、2月からは月額報酬を10~30%減額、8月からは20~50%に削減幅を拡大している。

今回の賞与カットなどで約140億円の固定費削減を見込むが、6月末時点の有利子負債は約1兆2500億円。今月中旬には主力取引銀行に黒字化に向けた再建策を提示する見通しで、さらなる追加リストラ策を出す可能性がある。

シャープはどこで間違えたのか、栄光と挫折の10年

ほんの1年前まで優良企業と目されていたシャープ。なぜ崖っ縁に追い込まれたのか。

「2000年代はシャープにとって夢だった」。シャープ関係者の多くはそう振り返る。確かに、家電メーカーの中位だったシャープは00年以降、トップメーカーに躍り出た。

原動力となったのが液晶だ。1998年町田勝彦社長(当時)は「ブラウン管テレビをすべて液晶テレビに置き換える」と宣言。00年初には、「20世紀に、置いてゆくもの。21世紀に、持ってゆくもの。」という広告で革新的な企業イメージを確立。液晶テレビ「アクオス」で国内首位を獲得した。

経営陣は、積極果敢な投資を矢継ぎ早に行った。00年代半ばまでに三重第2、第3工場(三重県多気郡)、亀山第1、第2工場(三重県亀山市)と8000億円超をテレビ用液晶パネルの生産ラインに投じた。その象徴が、04年1月に稼働した亀山第1工場である。産地名がブランド化した「世界の亀山」は、“日本のモノづくり”のモデルとされ、マスコミなどからもてはやされた。

液晶パネルから液晶テレビまで一貫生産する戦略が当たり、業績は急拡大。08年3月期には過去最高となる売上高3兆4177億円、純利益1019億円を計上した。だが、その挑戦は身の丈を超えていた。

フリーキャッシュフローは、営業益が過去最高を更新した07年3月期もマイナスだった。純利益が拡大していた00年代前半も一貫して純資産比率が低下していることから、莫大な投資がシャープの財務体質を悪化させていたことがわかる。結果論で非難するのは簡単だが、一方で、シャープの積極戦略がすべて間違いだったとは言い切れない。

液晶パネルは半導体と同様、最先端設備の導入で生産数量が大幅に増加すると同時に、生産コストは大きく下げられる。こうした産業で投資を躊躇すれば、たちまち競争から置いていかれる。「熾烈な競争に打ち勝つためには、競合に先んじた、果敢な投資が絶対に必要だった」とのシャープ幹部の言葉は真実だ。

シャープの不幸は、液晶パネルの価格下落が想像以上だったことにある。32インチのテレビ用パネルの価格は04年時点で約865ドルだったが、11年には約149ドルにまで下落した。大型液晶で世界シェア1位のLG電子、2位のサムスン電子でさえ、普及サイズのパネル事業は黒字化が難しい。その過酷な市場で戦う日本勢には円高という重荷もあった。

つまずいた外販戦略 ソニー“撤収”の誤算

パネルメーカーは、勝ち残るために増産投資を継続した。新工場が稼働すれば供給量は一気に増える。ひとたび需要増加が鈍れば、供給過剰で価格は急落する。それでも巨費を投じた以上、生産はやめられない。待っているのは消耗戦だ。

もちろん、シャープ自身の過ちもある。堺工場(09年10月稼働)への4000億円を超える投資に対しては、当時、業界でも疑問の声が上がっていた。韓国・台湾勢に加え中国勢の参入で、近い将来、パネルが供給過剰になることは明白だった。

堺工場は、シャープがテレビ販売でなく、パネル外販で生きていく決断でもあった。08年、片山幹雄前社長がこう明言している。「(亀山第2など)既存のパネル工場だけで年間2000万台(32インチ換算)以上の生産能力がある。うちの液晶テレビ(アクオス)の販売台数を考えたら、それで今は足りる」。

42インチ換算で年間1300万台もの生産能力を持つ堺工場新設を決断したのは、パネルという部材で世界一の夢を描いたからだ。安定需要家を確保するために、08年2月、シャープは液晶テレビ世界2位(当時)のソニーと手を組んだ。堺工場にシャープが66%、ソニーが34%を出資、出資比率に応じたパネルの引き取り義務を設けることで合意した。

液晶パネル事業のハイリスクは覚悟のうえ。ならば、リスクマネジメントが最重要となる。「強いパートナーがいなければ、巨大な堺の新工場はリスクが大きすぎる」(片山前社長)。ソニーとのパートナー戦略がそのカギとなるはずだった。

本社と亀山工場を抵当に入れる…計1500億円

シャープの本社(大阪市阿倍野区)と亀山工場(三重県亀山市)の土地建物に、追加融資担保として計1500億円の根抵当権が設定されていた。国内の大手電機メーカーが本社と主力工場を担保に融資を受けるのは異例だ。

登記簿によると、抵当権は、主力取引銀行のみずほコーポレート銀行三菱東京UFJ銀行が、それぞれ750億円ずつを極度額(借金上限額)に設定。対象は、本社ビルと隣接する田辺ビルの土地建物(計約1万7千平方メートル)のほか、亀山工場の土地建物(約30万平方メートル)など。

いずれも2012年8月31日付で、提携する台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との出資見直し協議が合意されるとみられた局面と重なる。

希望退職2000人、危機的状況に憤る社員(2012年11月)

経営再建中のシャープの業績悪化に歯止めがかからない。平成25年3月期の連結最終赤字見通しは期初の300億円から2度も下方修正され、過去最悪の4500億円に陥る。主力の液晶事業の不振などが業績低迷の要因だが、経営陣の不協和音も問題視されている。社員からは「現状を思い知るべきだ」との厳しい言葉が飛び、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との提携も思うように進まないなど、瀬戸際に追い込まれている。

11月1日に発表されたシャープの24年4~9月期連結決算は、最終損益が3875億円の赤字(前年同期は398億円の赤字)と4~9月期としては過去最悪の数字となった。同時に、25年3月期の最終赤字を4500億円と予想。期初は300億円の赤字としていたが、8月に2500億円、そして4500億円と異例ともいえる2度目の下方修正となった。

なぜ、“出血”は止まらないのか? 最終赤字が膨らんだのは国内の太陽電池工場の減損処理や、業績低迷による繰り延べ税金資産の取り崩しなどによるものだが、最大の要因は液晶ビジネスの不振だ。特に中小型液晶を生産する亀山第2工場(三重県亀山市)は、稼働率が4~9月期は3割に低迷。下期(10月~25年3月)の稼働率も5割前後とみられ、心もとない状況が続く。

このように主力事業の回復が遅れ、経営計画が予定通りに進まないのが赤字の垂れ流しの理由と指摘される一方、ここにきて問題視されているのが経営陣の不協和音だ。「経営陣が一枚岩になっていない」。シャープ関係者は困惑の表情でこう吐き捨てた。奥田隆司社長、片山幹雄会長、町田勝彦相談役。この3人の中で「誰がトップかわからない」(取引先関係者)という。

今春までは、片山氏の社長続投が有力視されていたが、突然の交代劇で新社長に抜擢(ばってき)された奥田氏。しかし、社員らが「聞いたことのない名前だった」と驚いたように、奥田氏自身にとっても「役員の半分以上が片山派」(業界関係者)で固められる中、決して動きやすい環境ではない。

液晶“一本足”経営と揶揄され、過剰な設備投資によって現在の経営危機を招いた町田、片山両氏の後始末を任され、「気の毒」(関係者)と同情の声さえ漏れるが、いまだに目立ったリーダーシップは発揮できていない。

液晶を生産する堺工場への巨額投資で収益を圧迫させ、トップ交代となったにもかかわらず、片山会長は懲りた様子もなく、「日本の企業には相手にされなくなったので海外を回っています」(同社関係者)。インテルなど米国の有力企業と提携交渉を進めているといわれるが、いずれも実現性は未知数だ。

片山氏は代表権を外れたものの、経営参画に積極的で、この非常事態にあっても大風呂敷を広げる性格は変わらないという。前出の同社関係者は「現実をあまり直視しない、いけいけドンドンの性格は事業部長が合っているのでは」と皮肉まじりに話す。

町田相談役は、2012年3月に鴻海精密工業との資本・業務提携で合意するまでシャープ側の先頭に立ち、鴻海の郭台銘会長と交渉を続けてきた。しかし、提携合意から半年が経過した10月半ば、そこにはかつて提携の意義に熱弁をふるっていた町田氏の姿はなかった。「何を聞かれても、(私は今)交渉してないんだから分からないよ」。難航している出資交渉に関し、こう答えた町田氏。報道陣の質問には「関係ない」「知らない」を繰り返し、交渉の行方を案じる言葉は一切なかった。

「町田相談役、片山会長をいつまで担ぐのか」11月1日の決算発表の席上、こんな厳しい質問を受けた奥田社長は「全員が一枚岩になって信頼を回復するのが経営責任」と述べた。こうした3氏の言動や行動に対し、経営陣よりも会社の危機的状況を肌で感じている社員の一人は「希望退職で会社を去っていく2千人にどう顔向けするのか。経営陣は思い知るべきだ」と憤りを隠せない。

同社にとどまらず、パナソニック、ソニーとも赤字決算に陥り、日本の家電産業そのものが瀬戸際に追い込まれている。こんな“厳冬”の中で、経営陣が一枚岩になっていないシャープに未来はあるのか? ある業界関係者はこう言い放つ。「今のシャープならば3度目の下方修正があっても全く驚かない」

シャープ再建の切り札IGZO液晶の“不都合な真実”

経営危機にあるシャープが、テレビコマーシャルや新聞広告で、盛んにPRしているものがある。

「もう充電を気にしない。驚きの省電力。IGZO(イグゾー)」

太陽が照りつける砂漠の真ん中に、ぽつんと立った白いパラソルとチェアが映し出される。女優崎野亜紀子さんがシャープ製のスマートフォンを操ると、上記のナレーションが流れてくる。

11月23日に始まったテレビCMで強調するのは、シャープの虎の子のIGZO液晶と呼ばれるディスプレイだ。特徴は、高精細な上に電池が従来の数倍も長持ちすること。米アップルのタブレット型端末、iPadにも採用されて、2012年3月に出荷をスタートさせた。

2年累計8000億円超の巨額赤字を見込むシャープだが、主力の液晶事業こそがその元凶。13年3月期も同事業は1000億円以上の営業赤字を計上する見通しだ。

悩みのタネだった堺工場(大阪府)は台湾鴻海精密工業との合弁会社として切り離した。残る主力工場の亀山工場(三重県)の自力再生は、IGZOに懸かっているといっていい。

「多くの社員がリストラで去る中、億単位の広告費を使うのはどうか」(シャープ社員)という批判がありながら、IGZOを推す理由がここにある。しかし、必死のブランド戦略の裏には、ある“不都合な真実”が隠されている。

「11月上旬に材料の投入が終わり、下旬からIGZOの生産ラインはほとんど動いていない」

複数の業界関係者は、IGZOの主力生産拠点である亀山第2工場の惨状をこう明かす。理由は最大顧客のアップルからの受注が止まったこと。iPad向けに第1、第2四半期と、それぞれ200万台以上あった受注が、秋口から激減。10月に発売された廉価版のiPad miniにも需要を食われ、韓国LGディスプレイに調達先を大きく絞り込まれた。自社製スマホも別工場で手がけるため、作る商品がないのだ。

あわてたシャープは、IGZOを搭載した高価な業務用ディスプレイの出荷計画を発表。しかし毎月1500台と少量で「生産能力の数パーセントにも満たない」(シャープ関係者)のが現実だ。

そのため亀山工場のIGZO生産ラインは年度内、“眠りつづける”という公算が極めて大きい。

中間決算で掲げた亀山工場の「下期の稼働率5割」は、本当のところ“高級品”のIGZOではなく、標準的なテレビ用液晶を韓国サムスン電子向けに赤字覚悟で大量生産して支えることになる。

同社の奥田隆司社長は「IGZOはシャープを救う技術だ」と断言する。しかし実際のビジネスには、いまだに大きな溝がある。

液晶販売を優先。財務再建は遠く(2013年3月)

経営再建中のシャープは2013年3月6日韓国サムスン電子との資本・業務提携を発表した。シャープが28日までに第三者割当増資(1株290円)を実施、サムスン電子の日本法人が約103億円で引き受ける。サムスンはシャープの第5位株主(出資比率約3%)となる見通し。

財務改善と、液晶パネル供給先拡大が狙いだが、サムスンの出資規模は巨額赤字で毀損したシャープの財務基盤再建には不十分。液晶テレビなどで激しいシェア争いを繰り広げてきたサムスンからの支援には、低消費電力の液晶「IGZO(イグゾー)」など最先端技術の流出を懸念する声もある。

「シャープの命運は液晶事業の採算改善次第。(テレビ事業などで)ライバルだろうと、パネルの売り先を広げないと、再建の絵が描けない」。

サムスンとの提携について、シャープの主力取引銀行幹部は6日、こう解説した。

液晶パネル製造拠点の亀山第1、第2工場は、国内テレビの販売不振や、大口納入先の米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)5」の需要低迷による受注減少で稼働率が大きく低下。採算が悪化している。

その打開策がテレビやスマホの世界販売で先頭を走るサムスンとの「ライバル関係を超えた提携」。サムスン向けに大型から中小型まで液晶を供給すれば、現状6割程度の亀山第2工場の稼働率が向上し「収益改善に直ちに結びつく」。

ただ、「アップル専用」の亀山第1工場の稼働率対策は残る。特許紛争に発展するなどアップルと敵対するサムスンとの提携が今後、アップル向けビジネスに悪影響を及ぼす可能性もある。

一方、サムスンが提携を決めたのは、足元の円安・ウォン高で採算悪化が予想される中、工場への投資負担を減らしたい思惑がある。サムスンは納期や数量、価格面などでシャープ製液晶パネルを有利に調達できる契約を結んだ模様だ。

シャープはサムスンから約103億円の出資を受けるが、財務改善には不十分。シャープは、半導体最大手の米インテルなどからも出資を受けたい意向だが、仮に実現しても台湾鴻海精密工業からの出資交渉中断で宙に浮いた増資額(約669億円)に及びそうにない。

日本の家電の苦境を象徴

シャープとサムスン電子はこれまで、家電の主力のテレビ販売でしのぎを削ってきたライバル。シャープが今回、サムスンに資本支援を求めたことは、韓国勢の攻勢に追い込まれた日本の家電業界の苦境を象徴する。

シャープは2000年代前半、町田勝彦社長(当時、現相談役)が液晶事業に経営資源を集中する「オンリー・ワン」戦略を進め、テレビの開発、設計から組み立てまで一貫し手掛ける亀山工場(三重県亀山市)を建設。高品質でコスト競争力も高い液晶テレビ「アクオス」を国内外でヒットさせた。

2007年には、世界で初めて大型液晶パネルを効率よく生産できる堺工場(堺市)の建設を決定。液晶新工場の稼働計画を進めるサムスンの機先を制しようとした。シャープの液晶事業投資額は1兆円規模に膨らみ、過剰投資の指摘もあったが、「サムスン電子を引き離す」(当時のシャープ首脳)戦略を進めた。

しかし、リーマン・ショックなどで米欧のテレビ販売が低迷。「亀山モデル」が人気だった国内販売も地デジ特需の一巡で失速すると、ウォン安を追い風に新興国など世界販売を伸ばすサムスンとの力関係は逆転した。経営不安が高まったシャープは自慢の堺工場も台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との共同運営にせざるを得なかった。一方、サムスンは収益を確保しつつ、世界最大のテレビメーカーの座に定着した。

サムスン電子

韓国最大の財閥、サムスングループの中核企業で、1969年設立の総合電機・電子部品メーカー世界最大手。サムスングループは金融、化学、観光などあらゆる事業を展開しており、1938年創業の貿易商「三星商会」が発祥。

サムスン電子は90年代に大型投資で半導体事業を拡大、その後、家電や情報技術事業も急成長させた。2012年12月期決算は、世界販売台数首位のスマートフォンなどが貢献し、売上高が前年比21.9%増の201兆1000億ウォン(約18.1兆円)、営業利益は85.7%増の29兆500億ウォン(2.6兆円)と、いずれも過去最高。薄型テレビは昨年まで7年連続世界一。世界60カ所以上に生産拠点を持ち、従業員数は約22万人。

「借りた金、1489億円…借金返済には使わないっ…!全額を設備投資につぎ込むっ…!」

シャープ、強気の全額投資 市場の理解得られるか

シャープが2013年9月18日発表した増資計画では、公募増資で調達する最大1489億円を全て設備投資に充てると表明した。借金返済の原資にはせず、成長戦略を打ち出すことで市場の理解を得る考えだ。ただ、平成26年3月に償還期限を迎える300億円の普通社債などの資金繰りについては「今後の収益でまかなう」(同社)としており、業績の回復が進まなければ成長戦略も画餅となる懸念もある。

増資が予定通りに進めば、シャープの自己資本比率は6月末時点の6%から10%台に回復する。企業年金の積み立て不足約1200億円を2013年度末に負債として計上しても、債務超過となる事態は回避され、危機的な状況はひとまず脱した。「再生と次なる成長を実現していきたい」(高橋興三社長)と考えから、増資を機に新たな成長に向けた投資に乗り出した形だ。

主力の液晶事業には860億円▽インドネシアの洗濯機・冷蔵庫工場などに445億円▽スマートフォン用のカメラ部品などに335億円を投じる計画だ。

ただ今後も借金の返済期限は迫る。2014年3月に300億円、2014年9月に1000億円の普通社債の償還期限を迎えるが、原資はまだ確保されていない。設備投資に伴う継続的な資金調達も必要となる。

「当面は過大な借金の返済が優先」(金融筋)との指摘もあり、26年3月期の連結営業黒字800億円が達成できなければ、積極投資による成長戦略も見直しを迫られる恐れがある。

シャープ社内に渦巻くぬぐいがたい失望と不安(2015年5月)

2度目の経営危機を招いたシャープの高橋興三社長が社内の求心力低下に苦しんでいる。巨額赤字と新中期経営計画の発表後、社内で上映した緊急ビデオメッセージでは「期待を裏切る結果に申し訳ない」と謝罪に追われた。希望退職の募集について社内文書で「痛みを伴うものもあるが、やり切らなければ明るい未来を描くことはできない」と全社一丸となった再建を呼びかけるが、社内の反応は冷ややかだ。リストラ優先で成長戦略が不透明な再建策に失望と不安が広がっている。

2015年5月14日午後。シャープのイントラネット(企業内通信ネットワーク)に「気持ちを新たに、そしてひとつに」と題した高橋社長のメッセージが掲載された。同日午後3時すぎ、平成27年3月期連結決算と新しい中期経営計画を発表する記者会見を社内にリアルタイム中継するにあたり、自らの思いを社員に訴える狙いがあった。

「皆さん、高橋です」と始まり、「きっと非常に厳しい質問がたくさん来ると思うが、しっかり見てください。その上で一丸となり、『もう一度シャープを再生させる』という強い気持ちを皆で持ちたい」と呼びかけた。

決算会見のリアルタイム中継は、新中期経営計画について沈黙を守った経営陣に対し説明責任を求める声に応じた初の試みだった。本社ビルの大会議室には300人以上の社員が見守った。ただ、会見が始まり、期待がしぼんでいくのに時間はかからなかった。リストラによる固定費削減が目立った再建策に「銀行の言い分ばかり飲んだのか」と次々と席を立っていった。ある工場では机をたたきながら「なんでこんなことになるんや」と叫ぶ社員もいたという。関係者は「指示を避ける社長が珍しく『5月14日まで待て』と命じただけに少しは期待したところもあったが、従来の事業説明会で打ち出した内容を焼き直した社内カンパニーの方針に失望や不安が広がった」と打ち明ける。

翌週の5月18日から主要な事業所や工場で高橋社長の緊急ビデオメッセージを上映し、巨額赤字を計上し希望退職の募集を決断したことを「会社のトップとして申し訳なく心苦しい」と謝罪。「意思決定が迅速にできず、急激な変化に対応できなかった。構造改革も不十分だった」と敗戦の弁を語った。ビデオメッセージではその後、国内で3500人規模の希望退職募集と社内カンパニー制の導入を柱とする新中期経営計画に理解を求めた。続いて事業部トップらが説明したが、本人が直前に方針を聞かされたばかりで「大丈夫だ」と根拠なく繰り返すだけのケースもあったという。このため、高橋社長の思惑通り全社一丸となった再建に臨む雰囲気とはほど遠いという。

失望が広がった背景には経営陣が社内の情報管理を徹底したこともある。主力取引銀行のみずほ銀行三菱東京UFJ銀行と協議中だった再建策について「非常にきつい情報統制を経営幹部の中でも敷いた」(高橋社長)といい、報道が先行していた。加えて、高橋社長は誤解を招きかねないメッセージを送っていた。2月の時点では否定していた希望退職の募集に踏み切ると報道が流れた3月19日の翌日、社内放送で「いろんな憶測で書かれており、皆さんもそういう報道にあまり惑わされないように」と訴えたのだ。それどころか主力行と資本支援を前提にした再建策を協議していたにもかかわらず「決して(銀行の)支援がないと立ち行かないような会社になっているわけではない」と言ってのけ、「時期がくればきっちり説明させていただく」と期待をもたせてもいた。それが会見中継や緊急ビデオメッセージで希望退職や資本支援などがメニューとして正式に発表されると「期待が裏切られた」との思いが広がっていった。

結局、新中期経営計画には3500人規模の希望退職募集を含めて、世界の全社員の1割程度を削減することが盛り込まれた。本社売却も検討し、社員の給与・賞与もカットすることで年間285億円の固定費を削減する。リストラ策が並んだことに対し、高橋社長は社内文書で「(再建策には)痛みを伴うものも含まれているが、これをやり切らなければ明るい未来を描くことはできない」と強調した。

一方で会見で、高橋社長は「経営が間違っていなくて、こう(経営危機)なるわけはない」と経営責任は認めたが、「身を引くのはひとつのやり方だが、経営危機の原因となった外部環境の変化に強い会社にするのが私の責任だ」と強調した。ただ、業績不振や経営危機が表面化して以降、主力行との協議を優先するあまり社内の対話が後手に回ったあげく、高橋社長がそのまま残留するなど経営トップの責任の取り方についても不信感が芽生えているという

相次ぐ経営危機で後がないシャープの経営再建には今こそ「気持ちを新たに、そしてひとつに」なることが必要だが、情報統制や誤解招くメッセージ、先行き不透明な再建策などがもたらした社内のしこりは意外と根深い。

高橋社長は5月14日の会見で「社員とどう向き合うかは今日から始まる大きな課題だ」と述べたが、「10人に1人が人員削減で会社を去るのに気落ちをひとつになんて…」などの社員のぬぐいがたい思いが再建の足かせになりかねない。

「シャープはもうだめだ」長谷川豊

パナソニックと並ぶ大阪の大企業であったシャープ。私自身もアクオスフォンにはお世話になったものだ。NYに赴任し、アイフォンを使用するようになるまでは5年以上、アクオスフォン一筋だった。世界の亀山をはじめとする、「液晶画面のシャープ」。美しい、目の覚めるような画面は誰の目から見ても他社と比べて1枚上手であり、価格設定も当時のパナソニックのように変に高級志向に走っていなかった。私は、ソニーパナソニックを抜き去り、日本の最高の家電メーカーになるのはシャープではないか、とすら考えていた。

しかし、NYから帰ってきた2012年あたりだろうか…シャープは…かつての栄光は嘘のように、あまりに悲惨な経営状況に陥っていた。当時は、パナソニックも苦しい状況になっていた為、日本全体の問題、家電メーカー全体の問題ではないかという意識もあった。しかし、聞くにつけ…あまりに厳しい状況が次々と聞こえてきてしまい、もともとファンだったために「本当にシャープは大丈夫なのだろうか…」と心配したものだった。

その後、パナソニックは劇的な業績回復を見せ始める。例の「私たちは負け犬なのだ」という衝撃の社長会見が功を奏したのだろうか?あっという間に黒字化に戻したパナソニックは再び勢いを取り戻しているように感じる。そのパナソニックと比較してしまうと、あまりに可哀想なほどに…シャープは依然として苦しい状況が続いていた。そして、10日ほど前にヤフーのトップ画面に久しぶりにシャープのニュースが流れたのだ。それが皆さんも目にしたであろう、こちらのニュースだった。

シャープ、超高画質4Kテレビを開発「8K並み」売りに7月発売

あぁ…ああぁ…本当にもうだめなのかも知れない…

そう考えざるを得ないニュースだった。そう。シャープは何を思ったのか・・・そっちじゃないだろう的方向へ、今も全力で突き進んでいるようだ。みずほの佐藤社長の言っていたことが正しかったのか…。10年後、シャープはもう生き残っていないのだろうか…。

記事内容を少しだけ紹介しておこう。シャープは7月に新しいテレビを売り出すのだ。シャープお得意の超高画質テレビだ。なんと、4Kテレビなのに、4Kテレビの画質を越えるのだ!いやっほう!8KKテレビ並みだぜ!みんな、買ってくれ!最高のテレビなんだぁ!

お値段…80インチで、168万円だけどね。

…もう…何と言えばいいのかよく分からないが…とにかく、一つだけ聞きたいのは…なんで誰も止めなかったんだ?この計画?いや、立派なチャレンジ精神だとは思う。絶望的にバカなだけで、チャレンジスピリッツはかなり感じている。だが、だ。とにかく…誰か止めろよ。何で止めない?

突っ込みどころが多すぎてアレなのだが、まず、80インチのテレビって、誰が買うんだ?そんなものが、今の日本で次々に販売できると本気で思ってるのか?私はアメリカに住んでいたが、アメリカは家はバカみたいに広い。と言うか日本が狭すぎるだけなのだが、とにかくアメリカは部屋も広いし天井もかなり高い。そのアメリカでも60インチ以上のテレビなんて、そんなに売れてないが?(と言うか…ほとんど売ってない)

80インチのテレビって日本で需要、あるのか?あると考えているから販売したのだろうが、なんでも今後は同じ技術を使いながら、画面も小さくしていきたいのだとコメントしている。つまり…現段階で、本気で80インチだけしか売らないらしい。しかも、そもそも4Kテレビが大失敗確定のムードが漂いまくっている昨今、何で真剣に「8K並みの4K」とか、1ミリも共感できないキャッチフレーズで売り出そうとしているのかがまったく理解できない。

何で…4Kがよく分からない上にそもそも必要とされていないのに、それ以上に決め細やかな8K(しかも、別に本当の8Kではない)を求めなきゃいけないんだ?申し訳ないが、まだテレビ局、全然対応していないんだが?要は買ったところで、8K画像なんて、頑張っても見られないのである。だって8K映像なんて配信していないので。配信されていないのに、何で売り始めるんだ?

極めつけは値段設定である。誰か、シャープの超ぼんくら経営陣に、はっきり言ってやってほしい。超低脳バカ経営陣に教えてやってほしい。正常な日本人にとって…168万円は、テレビに支払う金額ではない。

何で日本国民の99.99%の人間が常識として分かっていることを、バカみたいに高額な役員報酬をもらっている経営陣が分からないんだ?一人で経営をやってるわけではないだろう?問題はここなのだ。

『何で誰も止めないんだ?』

変なやつが経営陣収まることはままあることである。それは日本の歴史のある企業であればしょうがないことだ。一部の人間が権力を握り、その権力者に取り入るだけしか才能のないバカが経営に口を出す…。日本の企業のどこでも起こっていることである。そんなこと、テレビ業界だって同じだ。なので視聴率が壊滅していってるのだけれど…。

でも、誰かが止めなきゃ。こんなに分かりやすく失敗することが目に見えているのに、なんでまた、こんな方向に全速力で走っているのだろうか。何で誰も止めない?

シャープの経営陣はもはや伝説と化した「3Dテレビ」の反省はないのか?それとも、忘れたのか?もう忘れたのか?わずか数年前の話なのに。家電業界はあのときに思い知ったはずである。

「テレビ」とは「テレビ内のソフトを視聴するためだけのもの」でしかないのだ。とっくの昔に若い世代はテレビなんてなくても別にかまわない生活をしているし、「内容」が分かれば白黒でもカラーでも「良いものは良い」だけなのだ。白黒時代のオードリーヘップバーンの「ローマの休日」を見たら誰でも感銘を受けるだろう。今の時代でも、だ。テレビの画素数などは

きれいですか、へー

くらいのものであって、視聴者が求めているのは単なる「面白い内容のテレビ」である。その「面白さ」がどんどん昨今のテレビから失われていっているのだ。画面が4Kだろうが8Kだろうが、そこじゃないのである。その程度が理解できていない段階で。かなりの致命傷だ。どこぞのテレビ局と同じだが、経営陣が「液晶のシャープ」とか言われて調子に乗って楽しくてしょうがなかった時代をもう一度取り戻したいのだろう。

ほとんど田舎ヤンキーの「昔はよかったぜ」的な感覚だが、こんな製品を嬉々として発表している経営陣がいる限り、シャープの再生はないだろう。もう、50歳以上の社員、全員リストラで良いんじゃないか?社長は30代から選ぶべきだ。そうでもしない限り、シャープは再生しない気がするニュースだった。

創業者・徳次の理念

事業経営は不況のときに伸びよといわれている。
それは不景気のときに屈することなく、次に来る好機に伸びていく準備をすることだと思う。
景気の波に乗ることは誰しも可能である。
しかしそのときにすでに危険をはらんでいることも忘れてはならない。

良いアイデアの生まれるのは、儲からなくて何とかしようと苦しんでいるときである。
だから私は、儲かることをあまり喜んでいない。

古来、戦場でも退却は非常に難しいこととされ、一軍の存亡が多くこれにかかったことはよく歴史に示されている。
私のところも会社の規模が戦中に膨れ上がっており、その収縮の仕事はなかなか思うようにいかなかった。

「入るを量って出を制す」とは言い古された言葉だが、まさに企業の基本として動かない戒めである。
もし規制された予算通り実行できる企業があれば、その企業は必ず安定堅実である。

私は嘘をつかないこと、他人様に迷惑をかけないことを主義としている。また世間と多くの人たちから有形無形の恩恵を受けて生活していることに対する大きな感謝と同時にそのお返しを念願としている。

現在会社は5つの蓄積を社是として実践している。
「信用」「資本」「奉仕」「人材」「取引先」以上5つの蓄積である。
私たちは5つの貯蓄の精神を基盤にしてその実践を身近い現実のものに見て、今日から明日へと自分たちの周りをさらに充実していきたいものである。

会社再建に没入している最中に朝鮮動乱が起きた。
にわかに産業経済界が活発となり輸出の急増、内需の活況が目立ってきた。
社の滞貨も一掃され、この下半期には久々の黒字決算を行った。
三期にわたる難行にもようやく明るい陽射しが見えてきた。
我が新製品シャープスーパー受信機がさっそうと市場に登場した。
「だが、この期には前の経営の空隙を埋めることにとどめ、設備の新設拡張にまでは手を出さなかった。」

経営理念で精神面の問題も重視した。愛社精神や団結心などもなおざりにはしなかった。
常に社内上下のつながりを緊密にし、かねがね自分の提唱している人材の蓄積という言葉をモットーに、温かい結びつきを片時も忘れなかった。
これは外部に対する人間尊敬の心、信義に踏みたがえない気持ちにも合致するものと考えている。

かわいい社員のクビを切ってまで、自分は会社を存続させられない。
社長を辞し、会社は解散する。
社員を憂き目にあわせてまで、自分はもう、ものを言えない。
残った人間で会社を続けてよいが、自分はタッチしない。

主要製品

国内主要工場・研究所所在地

シャープでは現在、機密保持などの理由から工場の見学は原則として受け付けておらず、工場そのものをブラックボックス化した。これに加えて公式サイト上でも国内拠点に関する詳しい情報を削除し、事業領域の説明にとどめている。

テレビ番組におけるCM放送

通常版

  • 2008年10月現在、地上波レギュラーで提供しているテレビ番組は『土曜プレミアム』(フジテレビ系・筆頭スポンサー)と『報道ステーション』(テレビ朝日系)の毎週月曜日のみである(以前『大改造!!劇的ビフォーアフター』を提供していたが、ウッドワンの提供枠拡大と交換に一時毎週水曜日にも提供、2006年3月末で水曜日は一時降板している)。一社提供枠消滅後、数年間はお正月3が日を中心に吉永小百合をCMタレントで起用した長秒CMだけを流していた時期もあったり、「NNNきょうの出来事のスポンサーとして提供していた時期もあった(2002年~2004年頃)。フジテレビ系では、『クイズ!ヘキサゴンII』、『クイズ$ミリオネア』(共に提クレ自粛)、土曜プレミアム(筆頭スポンサー)などの番組で提供される。フジ系で30秒枠の場合、提供クレジットが表示されない事が多い。現在、テレビ朝日系以外の各キー局系はお正月3が日集中かスポットCMを中心にした広告展開となっている。過去にも数々のテレビ番組を提供していた。なお、BS-TBSでは一社提供番組として『AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。』が放送されている。
  • しかし、2009年3月期の決算で業績を大幅に落としたため、レギュラーで提供していた『土曜プレミアム』・『報道ステーション』を両方とも降板。2009年4月以降は当面スポットCMやPT(パーティーベーション)でCM契約を続けている。
  • スポットCMは2週間で集中的に放送されており、1週目は30秒で、2週目は15秒で放映されていることが多い(一部例外もあり)。
  • 現在放送されているCMは全てHD製作となっている。
  • 2009年から、水川あさみが登場するプラズマクラスターエアコン(明らかにパナソニックエアコン『エアロボ』の『パロディ』)のCMで、放映時間が5秒という非常に短いものが放映されている。

特別版

  • 『納得コマーシャル 日本一短いクイズSHOW シャープに答えて!』(『納得コマーシャル シャープに答えて!』)
  • 『日本一縦に長いクイズSHOW シャープに答えて!』(店頭限定)
    • 前述の応用編として、店頭向けにラサール石井と磯野貴理のみが登場するバージョンもある。タイトル通り、テレビを縦長にして映像を流している。こちらでは、最初にクイズが出されて(問題は紹介する商品に関連する物で4択)正解を発表した後、『日本一SHARPなタッチモニター』の磯野が司会のラサールに商品を説明する設定になっており、2007年3月現在は『愛情ホット庫搭載冷蔵庫編』『愛情Ag+ドラム洗濯機編』『愛情気流エアコン編』の3バージョンを一部家電店のシャープ商品設置コーナーで見る事ができる。
  • 『シャープ なるほど劇場』

提供番組

系列店新戦略

戦後間もなく『シャープフレンドショップ』と呼ばれる自社製品のみを扱う系列電器店が発足するが、量販店や他社系列店に圧されたり後継者難・経営者の高齢化等で店舗数は伸び悩んでいた。そこでシャープは2007年11月15日、これまでとは異なる新しいシャープ系列店、シャープ・バリュー・パートナー・グループ(SVPG)という新しい計画を発表した。これは量販店の安値攻勢による製品価格大幅下落の防止と、認知度が他社製品より大幅に低いといわれているシャープ製の白物家電のイメージアップにつなげるべく、発足当初からある全国約2千店のシャープフレンドショップの再編と、他社系列店の取り込みを図る計画である。

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外部リンク