ピアノ協奏曲第1番“蠍火”(大きな鍵盤と円盤のための)

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ピアノ協奏曲第1番”蠍火”(大きな鍵盤と円盤のための)は、音楽ゲームであるbeatmania IIDXシリーズに用いられている楽曲である。beatmaniaIIDX11 IIDX REDから収録されており、beatmaniaIIDX収録曲の中でも極めて難易度の高いものである。

この曲の作曲者はVirkato Wakhmaninovであるとされている。実際は脇田潤の作曲であり、この名義は彼がこの曲にのみ使っているものである。生年はラフマニノフの生年と同じ1873年、没年は脇田潤の生年と同じ1974年とされている。

美しいピアノの旋律などを含めすべて打ち込みによって作成されている。楽譜は出版されていないが、ファンによって耳コピで書き起こされた楽譜がインターネット上で見られる。


曲の構成[編集]

ハ短調。ロマン派音楽を模した曲調と幾度もの転調、技巧的なピアノが特徴的である。協奏曲とあるが、一般的な多楽章構成の協奏曲とは異なり単一楽章で、カデンツァもない。演奏時間は約2分10秒。

曲はピアノの両端の鍵盤(下2点い・5点ハ)ではじまる。続く序奏は静寂なピアノソロで始まり、その後感情的なトゥッティ(オーケストラ全体の合奏)が続く。オーケストラによる序奏はピアノの半終止によってピリオドが打たれ、ピアノ独奏によって主題が呈示される。その主題がオーケストラでもう一度くり返された後、フルートによる穏やかな旋律が奏でられ、経過的な部分を奏した後、壮大な旋律が二回演奏される。その後ふたたび最初の主題が演奏され、経過句を伴いコーダへと移る。トゥッティによる壮大なコーダはピアノの半終止によって打ち切られ、ピアノソロによる静寂な序奏が再現され、半終止によって曲の終止符が打たれる。

ピアノ協奏曲第1番”蠍火”(Pf Concerto No.1 "Anti-Ares")[編集]

ピアノ協奏曲第1番”蠍火”(大きな鍵盤と円盤のための)はゲームの特性に合わせた短い曲だが、サウンドトラックにロングバージョンが収録されている。ハ短調、演奏時間は約8分。こちらにはカデンツァとも言うべきピアノソロが含まれている(ただし一般的な協奏曲のカデンツァと違い曲の中途に登場する)。

急 - 緩 - 急の三部形式になっており、ゲーム版ではフルートによる経過的な旋律に過ぎなかった楽節が、中間部の支配的な主題となっている。序奏からピアノ独奏による主題まではゲームのものと大した変化はないが、主題がピアノで2回奏でられた後、オーケストラで2回演奏される。そしてゲーム版にはない動機が続く。以降ゲーム版の旋律やその変奏、新しく作られた旋律が組み合わせられ、変化をつけつつも元の曲の構成で進んでいく。最後のトゥッティによる壮大なコーダとピアノの半終止によるそれの打ち切り、ピアノソロによる静寂な序奏の再現、半終止による終わり方はゲーム版と同様である。

“もうひとつの蠍火”〜象牙と羊腸と肉声のための変奏曲[編集]

家庭用「KONAMI beatmaniaIIDX 11 IIDX RED」特別版に付属の「V-RARE SOUND TRACK」には、久保田修のアレンジによる「蠍火」が収録されている。ハ短調、演奏時間は約5分5秒。上述の2曲とは大きく様相を異にする作品である。タイトルにある「象牙」「羊腸」「肉声」はそれぞれ、曲中の「フレンチホルン」「ハープ(のガット弦)」「(男声による)斉唱」をさしているものと思われる。

ハープによるアルペジオと元の曲にはない弦楽合奏による旋律が奏でられたあと、アレンジされた序奏の主題がホルンとフルートによって奏でられ、その後のトゥッティは2回奏される。ピアノの半終止によるピリオドに続いて、オーボエソロによって主題が呈示される。その主題がフルートでもう一度くり返され、弦楽による穏やかな旋律が奏でられる。そしてピアノ独奏によって主題が再現され、それをオーケストラとともに発展させた後、ピアノにより下降形の旋律が示され、オーケストラによって平行調のV7 - Iでピリオドが打たれる。突然始まった経過句の後、壮大な旋律が男声斉唱によって演奏される。そして最初の主題も男声斉唱で奏され経過句を伴った後に、チューブラーベルで装飾された長いピアノソロが続く。ホルンによる補填の後に壮大なコーダへと移る。最後はI - II - Iの平行進行で終止する。

原曲に関する噂[編集]

一時期、「ピアノ協奏曲第1番”蠍火”」の原曲はチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番であるという噂が流れた。

beatmaniaIIDXには既存のクラシック音楽をアレンジした楽曲が数々収録されている(J.S.バッハインベンション13番をアレンジした「No.13」・ショパン革命のエチュードをアレンジした「革命」など)。この「蠍火」もクラシック調であったため、「この曲も何かのアレンジに違いない」と思ったファンは少なくなく、「ピアノ協奏曲第1番」という名称では最も有名な曲のひとつであるチャイコフスキーのピアノ協奏曲が挙げられたものと思われる。

しかしながら主題等の借用は見られず、原曲と思って聴いたもののその余りの相違に困惑したファンも少なくなかった。

実際には「ピアノ協奏曲第1番”蠍火”」は既存のモチーフによらない、オリジナル楽曲であると思われる。曲風はどちらかというとラフマニノフの作風に似ている。また「蠍火」の語はリストの「超絶技巧練習曲」にある「鬼火」からきているとも言われている。