ヤンマー

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ヤンマー株式会社
種類 株式会社
業種

ヤンマー株式会社(英称:YANMAR Co.,Ltd)は大阪府大阪市北区茶屋町に本社を構える発動機エンジン。産業用を含む)ならびに農機建機小型船舶の製造販売会社である。

概要[編集]

創業者の山岡孫吉により、石油発動機のメーカーとして1912年に創業。

商標「ヤンマー」(のち社名ともなる)は、商標候補として豊作のシンボルであるトンボを検討していた[1]が、すでに商標権が静岡県醤油メーカーにとられていたため、代案としてトンボの大将オニヤンマにちなんで命名されたものである。創業者の姓の「山岡」に発音が近かったのも決め手となった。

1933年には、石油発動機よりも経済的だが技術的ハードルの高かった小型高速ディーゼルエンジンの自社開発に成功。以降は中・高速型のディーゼルエンジンとこれを利用した工業製品の生産で業績を伸長してきた。そのためか、同社が開発し製造したディーゼルエンジンは全般的に信頼性および耐久性が非常に高い事で知られており、創業当初から「ものづくり精神」という概念を21世紀の今日まで頑なに守り続けている。

業界における大手メーカーではあるが、競合するクボタ井関農機(以下ヰセキ)と違い、2008年時点でも非上場である。

なお、ヤンマーディーゼルサッカー部はJリーグ所属のセレッソ大阪の母体となった。

マスコットキャラクターは、ヤン坊マー坊で、同社イメージ・CMソング「ヤン坊・マー坊の歌」や、日中の夕方や夜に地方で放送される天気予報番組「ヤン坊マー坊天気予報」(冠番組)のタイトルにも冠している[2]

不祥事[編集]

労働問題[編集]

  • 2005年2月2006年2月から同社のびわ工場で勤務していた派遣労働者の男性2人が、1年の派遣契約を超えた状態で派遣労働が続いたことから、2008年2月にこの旨を滋賀労働局に申告し、同労働局は同社に対し是正勧告を実施した。しかしこれを受け同社は、これら2人の派遣労働者を、同年9月から5ヵ月間の期限付きでの直接雇用に切り替え、翌2009年2月に契約が終了したとして解雇した。これについて、この2人の派遣労働者は、解雇は違法だとして、同年3月12日に、正社員としての地位確認を求める訴えを大阪地裁に起こし、2009年現在係争中[3]

所得隠しの発覚[編集]

  • 2009年9月29日に、2008年3月期までの2年間に亘り約3億円の申告漏れがあったことを、大阪国税局の税務調査で指摘されたことが判明した。このうち約2億円については、仮装や隠蔽(海外子会社との業務委託契約の委託費として計上したが、実体が無いとされた)など意図的な所得隠しと認定され、約1億数千万円を追徴課税された[4]

沿革[編集]

  • 1912年 山岡孫吉によって、「山岡発動機工作所」として創業する。
  • 1931年株式会社山岡発動機工作所」設立。
  • 1936年 「山岡内燃機株式会社」設立。
  • 1940年 「山岡内燃機株式会社」が「株式会社山岡発動機工作所」を合併する。
  • 1952年 社名を「ヤンマーディーゼル株式会社」に変更する。
  • 1961年 「ヤンマー農機株式会社」を設立。同年、「セイレイ工業株式会社」と業務提携。
  • 1968年 エンジン業界としては初のデミング賞を受賞。
  • 1972年 「ヤンマー造船株式会社」と「ヤンマー産業株式会社」を設立。またヤンマー農機が米国ジョンディア社と業務提携。
  • 1991年 ヤンマー農機が「石川島芝浦機械株式会社」(現・IHIシバウラ)と業務提携。
  • 1995年 滋賀県びわ町にびわ工場を建設。
  • 2000年 滋賀県米原町に中央研究所を開所。
  • 2002年 社名を「ヤンマー株式会社」に変更する。
  • 2005年 シンボルマーク(ブランドロゴマーク)を刷新。
  • 2009年2月21日 子会社の「ヤンマー農機株式会社」を吸収合併。これに伴いヤンマー農機は解散[5]

主要製品[編集]

主にディーゼルエンジンを得意とする[6]企業で、汎用を含む産業用・農業機械用・小型漁船用等のエンジンを製作している。最近では農業機械向けのディーゼルエンジンとして機械式ガバナの代わりに電子制御式ガバナを採用し、ボタンひとつで2つのエンジン特性を選択する事が可能で、高効率・省燃費で且つ環境性・低エミッション性に優れる「エコディーゼル」シリーズが有名。1996年に「エコディーゼル」が同社のトラクター「RS」シリーズ[7]、「AF」シリーズ[8][9][10]、「US」シリーズ[11]の一部に先行搭載された。[12]「エコディーゼル」は後に同社の一部のコンバイン[13]や乗用型10条植田植機「GP10[14]にも搭載される。

農業機械
ヰセキ同様、新機種開発時に農業機械としてはかなり革新的な技術を導入する事が多いものの、[15]同社で本格的な乗用型トラクターを開発したのは1963年頃と大手の農業機械メーカーとしては意外と遅い。
トラクターコンバイン田植機[16]などの農業機械は連結子会社のヤンマー農機が販売していたが2009年2月21日以降よりヤンマーが販売する事となった。クボタや前述のヰセキと並び大手農業機械メーカーのトップブランドの一つである。2008年現在IHIシバウラおよび米国ジョンディア[17]と業務提携中である。[18][19]なお農業機械の製造に関しては、ヤンマーグループの構成企業の1つであるセイレイ工業株式会社が主に行っている。ただし、トラクタについては、同じくヤンマー農機製造も製造を受け持っている。
なお、農業機械の生産高はクボタに次いで2009年現在、日本第2位となっている。
建設機械
建設機械の分野では、小型油圧ショベルや小型ホイルローダーなどを得意とする。
  • 発電溶接機 - 他社に多くのディーゼルエンジンを供給している。自社製品及びグループ企業であるヤンマー建機の発電溶接機にも自社開発エンジンを搭載している数少ないメーカーである。
舶用機関
漁船、商船の主機関及び補機(発電機、ポンプ)の原動機用ディーゼル機関について、文字通り小型から大型まで幅広く生産、販売している。練習船海王丸の主機関には、Z280-SN形が採用されている。
エンジン
ヤンマーGA系エンジン
全種類が空冷・単気筒・キャブレター仕様のOHVガソリンエンジンである。基本的に汎用エンジンではあるが、同社製の農機具および除雪機などに搭載する場合は、外装のカバー類の専用設計がされているものもある。

形式名

  • GA120ASNS
  • GA160ASNS
  • GA280S - シリーズ唯一の1軸バランサ搭載
形式名にある数字はおおよその排気量を示す。
全てメカニカルオートデコンプ付のリコイルスタータ式である。

[20]

ヤンマーLV系エンジン
全種類が空冷・単気筒仕様の直噴式OHVディーゼルエンジンである。基本的に汎用エンジンではあるが、同社製の農機具および除雪機などに搭載する場合は、外装のカバー類の専用設計がされているものもある。
全種類が2006年1月から実施されている排出ガス国内自主規制(日本陸用内燃機関協会制定)に対応し、更にEPA(米国環境庁)2次排出ガス規制にも適応している。
形式名
  • L48V - 総排気量:219cc、最大出力(ps):4.5ps
  • L70V - 総排気量:320cc、最大出力(ps):5.9ps
  • L100V - 総排気量:435cc、最大出力(ps):9.3ps
全てセルスタータ式(一部リコイルスタータ併用も有り)である。

[21]

ガスヒートポンプエアコン(GHP)
室内ユニットはダイキン製。[22]最近では、日立製のGHPを製造しなくなったことや他社[23]製品の猛追により国内シェアは5位以下と低迷している。
その他機械
近年は、産業用の自家用発動発電機や小型~中型の除雪機[24]なども製作している。
近年は船体も販売している。[25]
かつてヤンマーはロータリーエンジンチェーンソーや船外機を開発し、その開発直後に販売した事がある[26]

過去には1958年に最高出力4.6psの農機用単気筒249ccディーゼルエンジンを搭載したキャブオーバー軽トラックの試作車「KT型」を発表し、更に2年後の1960年には、空冷V型2気筒358ccのディーゼルエンジン「2A2形」を搭載したキャブオーバー型軽トラック「ポニーKTY型)」を開発して市販に至ったが、低排気量ディーゼルエンジンの宿命で最高出力が9ps/3600rpmと、同排気量のガソリンエンジンを搭載したライバル車と比較して圧倒的に低く、販売台数が振るわず僅か2年足らずで撤退している[27]

スポンサー番組[編集]

※過去の番組を含む。

CM出演者[編集]

  • フランキー堺 1976年1980年にコンバイン(のちの後述する「カルテット」シリーズ)のCMに出演。
  • 伴淳三郎 前述のフランキー堺とコンバインのCMで共演した。
  • 浅茅陽子 1977年1979年に田植機「いちばん苗」シリーズのCMに出演。
  • 小林旭 1977年~1982年にトラクター「YMシリーズ」およびその後継の「フォルテ」シリーズのCMに出演。自身の歌うCMソング『赤いトラクター』がヒットし、大きなイメージアップの原動力となった。また小林は同社の農機具のCM以外にもほぼ同年代に同社の建設機械および船舶のCMにも出演していた。ちなみに小林が1977年当時、同社のトラクターのCMに出演している時、ライバルのクボタのトラクターのCMには橋幸夫が、ヰセキのトラクターのCMには加山雄三がそれぞれ起用されていた。
  • 菊地陽子 1983年頃、田植機「すこやか」シリーズおよびコンバイン「カルテット」シリーズのCMに出演。
  • 石田えり 1989年1990年にトラクター「スーパーフォルテ&USシリーズ 友情を大切にしようね」篇のCMに出演。1980年代末期~1990年代初頭に象徴される農業機械のCMらしくないライトな感覚のCMが印象的だった。
  • 中島啓江 1990年代中期に乗用田植機「高速ニューすこやか」シリーズのCMに出演。
  • 森島寛晃 1998年にトラクター「エコトラ」のCMに出演。
  • 舞の海秀平 1999年2001年に丸ハンドル(FDS:Fulltime Drive System)コンバイン「GCシリーズ」のCMに出演。その後スモールクラスのトラクター「Ke(ケー)シリーズ」のCMにも出演した。

関連会社[編集]

事業会社系列[編集]

  • 株式会社神崎高級工機製作所(ヤンマーの全額出資の直系会社である。本社は尼崎市にあり、歯車、工作機械、油圧機器、トランスミッション、マリンギヤの製造で国内外に知られている。)
  • ヤンマー農機製造株式会社
  • ヤンマーヘリサービス株式会社
  • ヤンマー建機株式会社
  • ヤンマー舶用システム株式会社
  • ヤンマーエンジニアリング株式会社
  • ヤンマーエネルギーシステム株式会社(平成15年3月創立)[28]
  • ヤンマー農機販売株式会社
  • ホクトヤンマー株式会社(主に北海道を地盤とする)
  • ヤンマー沖縄株式会社(主に沖縄県を地盤とする)
  • 大阪サッカークラブ(Jリーグ・セレッソ大阪の運営母体)

関連項目[編集]

参考[編集]

  1. 1950年代以前、石油発動機や焼玉発動機などの小型内燃機関は、脱穀機駆動などの農業用動力として用いられることも多かった。
  2. なお、ヤンマーの無人精米所にも古くから設置している所では「ヤン坊マー坊精米所」という名称が付けられている。
  3. 「解雇は無効」元派遣社員がヤンマーを提訴 産経新聞 2009年3月12日
  4. 所得隠し:ヤンマー、2年で2億円 大阪国税局指摘 毎日新聞 2009年9月29日
  5. 「ヤンマー(株)によるヤンマー農機(株)合併」について(2009年1月15日)
  6. 特に産業用や農業機械用のディーゼルエンジンとしては非常に高い技術力を持つ。
  7. 最低地上高を標準機よりある程度高くとった稲作農家向けの小型トラクターでIHIシバウラ(当時シバウラ)との業務提携直後にシバウラと共同開発された機種でシバウラ側の技術が随所に盛り込まれていた。2001年に製造および販売終了。
  8. 同社のトラクターの基幹シリーズで2008年現在絶版。後継は2002年に販売が開始された「EF」シリーズおよび2006年に販売が開始された「EG」シリーズ。2008年10月現在、既存の「EF」シリーズ(「EF100」シリーズ、「EF300V/VJ」シリーズ、「EF800」シリーズ)も併売されているが将来的には「EG」シリーズに統一される見込み。
  9. ただし「EF300(標準スピード・26馬力~38馬力)/300J(ハイスピード・28馬力~42馬力)」シリーズ(2008年10月現在「EF300V(標準スピード・26馬力~38馬力)/300VJ(ハイスピード・28馬力~42馬力)」シリーズ)以上の上位シリーズからエコディーゼルが標準で搭載される。
  10. なお「EF200(20馬力~30馬力)」シリーズ(2007年9月以降「EG200(20馬力~30馬力)」シリーズに変更。2008年10月現在従来の「EF200」シリーズは絶版となった)および「EF100(16馬力~22馬力)」シリーズといった下位シリーズには「エコトラジャスティ」のブランド名が付くものの、こちらはエコディーゼルは非搭載。
  11. 2001年発売の「US300(24馬力~34馬力)」シリーズ以降からは「エコディーゼル」が標準で搭載。2008年10月現在「US」シリーズのラインアップは中~大規模農家向けの「US(小型仕様標準スピード・26馬力~36馬力/小型仕様ハイスピード・30馬力~36馬力)」シリーズ、大規模農家および酪農経営者向けの「US PRO(40馬力~60馬力)」シリーズが存在する。
  12. 2008年現在「エコディーゼル」が搭載されたトラクターには冠名として一部の中型以下のホイールトラクターおよび一部のフルクローラトラクターには「エコトラ」のブランド名が付き、一部の大型のホイールトラクターには「エコトラプレミアム」のブランド名が付く。
  13. 当初のブランド名は「エココンバイン」シリーズだったが後に「アスリート」シリーズに改名。2008年現在では「アスリートプロ」シリーズ以上の上位シリーズから「エコディーゼル」が搭載される。なお「アスリートジャスティ」シリーズ以下の下位シリーズには「エコディーゼル」が搭載されない。
  14. 1999年発売。「エコディーゼル」は基本的に直噴式燃焼室を用いたディーゼルエンジンが採用されるが例外として田植機用に限り、唯一過流室式燃焼室を用いたディーゼルエンジンが採用されていた。2005年に製造および販売終了(現在10条はヰセキからのOEM。但し、現在でもエコディーゼルではないが、8条にディーゼル搭載機が存在する)。
  15. 例として、前述の「エコディーゼル」の他に丸ハンドル(コンバイン用に限り一部航空機風のハンドルも存在する)を用いたクローラ機構「FDS(Fulltime Drive System)」(2008年現在一部のコンバイン、フルクローラー式トラクター、フルクローラー式乗用管理機に採用)や「HMT(Hydraulic Mechanical Transmission)」と呼ばれる油圧式+機械式のハイブリッド機構による電子制御無段変速トランスミッション(2007年現在一部の乗用田植機、大型トラクター)など。
  16. 1993年に乗用型の田植機(乗用6条植)で世界初の小型空冷単気筒ディーゼルエンジンを搭載した。
  17. ヤンマー農機は1972年に米国ジョンディア社と業務提携を結んでおり2008年現在も米国ジョンディア社の大型トラクター(ただし日本国内専売機種の「JD1520(ヤンマー「エコトラUS PRO US501」OEM機種)」と「JD1620(ヤンマー「エコトラUS PRO US601」OEM機種)」は除く。この2機種に限り日本国内で製造されている)および自走式大型フォーレージハーベスタ(汎用コンバインの一種)等の農業機械の輸入販売を行っている。
  18. かつてはシバウラ自身も自社開発のオリジナルのトラクターや管理機などを製造、販売していたが1991年に前述のとおり業務提携。その後シバウラブランドとしては段階的に農業機械の分野から撤退する。
  19. 2008年現在IHIシバウラはヤンマー農機のトラクターの委託製造を一部担当している(主に20馬力以上40馬力以下の小型トラクターが中心)。
  20. ヤンマー・OHVガソリン GAシリーズ
  21. ヤンマー・空冷ディーゼルエンジン LVシリーズ
  22. 室外ユニットの製造はヤンマーエネルギーシステム
  23. 主にアイシン精機GHP
  24. ヤンマーらしく、一部の小型の除雪機に小型の空冷・単気筒ディーゼルエンジンを搭載している。
  25. ごく最近ではヤマハ発動機と共同でフィッシングボート「FZ30」(2006年4月発売)を開発し、更にスズキマリンと共同で23フィート型センターコンソーラーフィッシングボート「トップランJ・EF23B」(2008年5月発売)を開発している。
  26. 1970年代初頭に開発、そして販売してみたものの、当時購入したユーザーからは「振動は少ないものの、2サイクルエンジンのチェーンソーより力が弱く、トルクが細くて粘り強くない」という意見が多かったため短期間で販売打ち切りになったというエピソードがあった。その後、このロータリーエンジンはヤマハの試作型オートバイRZ201」に搭載されるものの、丁度第1次オイルショックと重なり製品化に至らなかった。
  27. 両者共に駆動形式は既存のスバル・サンバー同様、リアエンジン・リアドライブ(RR)を用いており、2009年現在、日本の自動車史においてディーゼルエンジンを搭載して市販されたまったく類をみない軽自動車だった。
  28. ヤンマーエネルギーシステム株式会社

外部リンク[編集]