三菱ふそう・キャンター

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キャンターCANTER )は、三菱ふそうトラック・バスが製造・販売しているキャブオーバー型小型トラックである(1963年から1970年までは三菱重工業、1970年から2002年までは三菱自動車工業が製造・販売)。また、三菱ふそうブランドで唯一欧州で販売されている車種でもある。

インドネシアでは「コルトディーゼル」の名でノックダウン生産されている。

歴史[編集]

初代 T720型(1963-1968年)[編集]

1963年登場。エンジンは直列4気筒1986ccの4DQ1型ディーゼル

1964年 マイナーチェンジ。前照灯を丸形2灯から丸形4灯へ変更。

1966年 マイナーチェンジ。 

2代目 T90型(1968-1973年)[編集]

1968年1月登場。丸形4灯ライトが採用された。

1970年7月、マイナーチェンジで3分割タイプのフロントグリルを採用。ディーゼルエンジンは新開発の4DR5 2.7L 80馬力に変更。

3代目 T200型(1973-1978年)[編集]

1973年5月登場。T90型キャブのフロントパネルなど、各部を大幅にメジャーチェンジ。通称「Vキャンター」。フジミ模型でモデル化されているのはT210CH型。

1975年1月 マイナーチェンジ。2.0Lガソリンエンジンはギャランと同じ4G52型(アストロン80)に変更され、昭和50年排出ガス規制に適合。

1976年7月 2t積ディーゼル車に超低床車を設定。後輪に小径ダブルタイヤが装着されていた。

4代目 FE1・2(1978-1985年)[編集]

1978年登場。基本色は黄土色。このため、モデルチェンジ当初のキャッチフレーズは「黄金の足」。通称「黄金キャンター」。モデルチェンジ当初は、『007』シリーズのパロディのようなテレビCMを放映していた。 当初のエンブレムは、ワンクラス上のFKシリーズやFシリーズがスリーダイヤだった中、本モデルはM字を採用した。 このモデルからワイドキャブ及び3t積車が設定され、標準キャブはキャンター20、キャンター30、ワイドキャブはキャンターワイド20、キャンターワイド30と言う名前で発売された。

1980年2月 マイナーチェンジ。ワイドキャブ全車にパワーステアリングをオプション設定。

1980年11月 新たに1.5積車として、キャンター15を発売。

1980年12月 3.5積車、キャンター35ワイドを発売。

1982年11月 一部改良。MMCマークでフロントグリルに大きくCANTERの文字が入る。また、ディーゼル車に直接噴射式エンジン(NA100PS、ターボ120PS)を追加。

1983年12月 キャンター15をベースにしたウォークスルーバン「キャンターウォークスルー」を発売。

三菱自動車工業がスポンサーの一社であったテレビドラマ「3年B組金八先生」の第1シリーズで、金八先生の引越しシーンで使われた。

5代目 FE3・4(1985-1993年)[編集]

1985年10月登場。丸形4灯ライトからザ・グレートに準じた異形角形2灯ライトに変更される。但し輸出仕様はこの代まで丸形4灯ライトを採用していた。フロントのMMCエンブレムもスリーダイヤに変更され、従来のMMCエンブレムは助手席ドアに装着された。

フロントディスクブレーキの一部採用もこの代から設定された。シフトレバーもコラムシフトからフロアシフトに変更された。 カスタム仕様車にはメッキコーナーベンとパワーウインドーが装備されていた。

1986年7月 キャンター20、キャンター30に4WD車を追加。

1987年1月 キャンター15をキャンターガッツに名称変更。

1988年8月 マイナーチェンジ。フロントグリルの形状変更。

1989年11月 マイナーチェンジ。平成元年排出ガス規制適合、フロントグリルの形状変更。

1991年6月 マイナーチェンジ。リアのロゴを「MMC CANTER」から「CANTER」に変更。クラス初のABSをオプション設定。パワーウインドーを全車に標準装備。


6代目 FE5・6(1993-2002年)[編集]

1993年11月フルモデルチェンジ。一部車種の前照灯(ロービーム)をプロジェクタータイプに、ドアアウターハンドルを縦型フラップ式に変更(7代目は横型フラップ式に)、助手席側のウィンドーを、1992年にフルモデルチェンジした2代目ファイターで採用された同じデザインに変更。後の7代目もこのデザインを踏襲している。台湾などではこのモデルのシャーシを使用したマイクロバスが製造されている。また、フロントディスクブレーキ車は、このクラス唯一となる、曙ブレーキ工業製で同社が「ツインキャリパー式ディスクブレーキ」として特許を持つ、ツインキャリパータイプのベンチレーテッドディスクブレーキとなり、次の7代目モデルでも踏襲されている。CMには辺見えみりを起用、当時のコピーは「えみりバディキャンター」。

1994年 モリタとの共同開発のポンプ消防車「MX-I」を発表。キャブとボディの一体感のあるデザインを採用し、通常のCD-I型ポンプ車に比べてキャブの居住性を拡大すると共にATを搭載。ボディにはオールシャッター方式を採用していた。

1995年4月 マイナーチェンジ。標準キャブ超々ロングボディを追加。平成6年排出ガス規制適合。

1995年10月 ワイドキャブ4t積、標準キャブ3.5t積を追加。

1997年6月 キャンターガッツにガソリンエンジン車を追加。エンジンは4G63を搭載。

1997年7月7日 キャンターベースの高規格救急車、ディアメディック登場(2002年廃止)。テールランプはデリカから流用。艤装は三菱自動車テクノサービス(後のふそうエンジニアリング、2006年解散)が実施。他にもキャンターベースの救急車は帝国繊維が艤装したオプティマ、札幌ボデー工業が艤装したトライハートが存在する。

1997年10月マイナーチェンジ。衝撃吸収式ステアリングの採用と同時にクラス初であり4代目ローザと共通の直噴DOHC16バルブディーゼルエンジン (4M50) を一部に設定。

1999年5月マイナーチェンジ。平成10年排出ガス規制に適合し、フロントアッパーグリルとテールランプ周りが手直しされた。

2000年 GUTS系を除き運転席エアバッグ標準装備。

2007年 青島文化教材社でプラモデル化。

7代目 FE7・8(2002年 -2011年)[編集]

2002年6月18日発表。2WDは同日発売、4WDは7月発売、LPG車CNG車は11月発売。コンセプトは「GLOBAL FIT」(グローバル・フィット)。

ヘッドランプのデザインが大型のつり目状に変更され、キャブオーバートラック(小型、中型、大型も含む)においては世界で初めてインパネシフトを搭載した。

短期間しか放映されなかったが、CMキャラクターにはロック歌手の矢沢永吉が起用された[1]

2003年1月6日に三菱自動車工業(株)から三菱ふそうトラック・バス(株)が分社し発足。同日から現在まで三菱ふそうトラック・バス(株)が製造・発売・販売(販売は2006年に国内連結対象販売会社が統合された地域のみ)を担当している。

2004年 北米仕様(北米ではキャンターではなくFEシリーズとして発売されている)にトヨタ・ダイナなどと同じアイシン精機製6速ATが設定された[2]

2005年10月3日 マイナーチェンジ。後部突入防止装置取り付け規制と灯火器の取り付け位置及び配光特性規制に適合に対応し、一部グレードに5速機械式ATINOMAT-IIが設定された。

2006年7月5日 パラレル式ディーゼルハイブリッドシステムを採用した「キャンター エコ ハイブリッド」を発売。日野トヨタ (HIMR) 方式とは異なり、エンジンとモーターの間にクラッチを置くことで、モーターのみでの発進や走行を可能としているほか、回生率も向上した。また、他社に先駆けてのリチウムイオン電池日立ビークルエナジー製)を採用した。エンジンは3.0Lの4M42型・DOHC16バルブ・コモンレール直噴ディーゼルターボエンジンを搭載し、変速機はアイシン精機製5速マニュアルトランスミッションにボッシュ製変速ユニットを用いたINOMAT-IIが組み合わされる。通常の4.8Lエンジン搭載車に比べ、NOxで41%, PMで46%の低減、燃費は14%程度の向上をそれぞれ達成している。

2006年8月4日、マイナーチェンジ。新長期規制適合車を追加。環境性能をはじめ、同時にデザインも見直され、ふそうブランド以外では2000年に行われていた、三菱のシンボルであるスリーダイヤをクロームメッキ化、長年親しまれたフロントグリルとマッドフラップのCANTERの文字の変更(CANTER → FUSO)などの変更が行われた。なお、フロントグリルがFUSOになった代わりに、CANTERロゴはステッカーの形で左右のドアに貼り付けることとなった。尚、欧州仕様向けにフロントグリルの表記がMITSUBISHI FUSOとなっている仕様も存在する[3]

2008年5月27日、4M42(T3)型ディーゼルエンジンを搭載した、平成27年度重量車燃費基準適合車を追加。キャンターガッツ並びにガソリンガッツが廃止された。

2009年4月20日、マイナーチェンジ、全車種にイモビライザーを採用し、2012年7月1日から義務付けられる新しい灯火器規制(ハイブリッド車に対する高電圧からの乗員保護に関する保安基準)に適合させるために、サイドターンランプの形状を変更した。エコハイブリッドについては、エンジン出力・燃費性能を向上させるとともに、機種展開を大幅に拡大し、新普通免許対応車や長尺車を新たに設定した。また、キャンターガッツの販売を再開した。

2010年1月7日、平成27年度重量車燃費基準適合車の設定を大幅拡大し、総重量5トン超車(中型免許対応車)にも適合車種が設定された。 また、当該車種に搭載される4M42(T3)型ディーゼルエンジンは、平成17年(新長期)排出ガス規制と同規制基準でのNOx&PM10%低減を達成し、エコカー優遇税制と低燃費トラック補助金制度対象車とした。

2010年8月5日、エコハイブリッドのみマイナーチェンジ。ハイブリッド制御プログラムの最適化により、2.0t積車で国内最高の燃費性能を実現、3.0t積車についても燃費性能をより一層高めた。同時にそれぞれのCO2排出量も大幅に減らした。

2011年12月、エコハイブリッド販売終了。

8代目 FBA/FEA・B・C系(2010年 -)[編集]

8代目キャンターの冷蔵車(キリンビバレッジ)

2010年11月8日発表。ポスト新長期排気ガス規制と平成27年重量車燃費基準に適合。コンセプトは「ソリッド&タフ」。通称ブルーテックキャンター。

  • トランスミッションは小型トラックとして世界初の採用となる6速デュアルクラッチトランスミッションDUONIC(デュオニック)と5速MTが採用され、7代目モデルで採用されていた6速MT・4速AT・5速INOMAT-IIが廃止された。
  • 搭載されるユニットはフィアットグループのFPT社とダイムラー、そして三菱ふそうが共同開発した2,998cc直列4気筒・DOHC16バルブ・直噴コモンレールインタークーラーディーゼルターボエンジンの4P10系で、最高出力・最大トルクが異なる4種類のエンジンが導入された(1.5トンクラス用:4P10(T1)型 81kW(110PS)、2トンクラス用:4P10(T2)型 96kW(130PS)、2 - 4トンクラス用:4P10(T4)型 110kW(150PS)、3.5トンクラス以上用:4P10(T6)型 129kW(175PS))。これらのエンジンには、再生制御式DPFと、小型トラッククラス初の尿素SCRシステムBlueTec(ブルーテック)システムが採用されている。
  • ブレーキは全車種に、ハイパフォーマンスカー(乗用車)への装着で有名なブレンボ社製総輪ディスクブレーキを採用[4]、アクセルペダルを踏んだままブレーキペダルを踏んだ際、ブレーキ側を優先させるブレーキオーバーライドを搭載した。なお、6代目・7代目とフロント・ディスクブレーキとして採用されていたツインキャリパータイプのベンチレーテッド・ディスクブレーキは、当代では一般的なシングルキャリパータイプのベンチレーテッド・ディスクブレーキとなった。
  • キャブは7代目のものをキャリーオーバーし、内外装デザインを大幅に変更した。
  • グレードは従来のSA・DX・CUSTOMの3グレード構成から、スタンダード(標準グレード、従来のDXに相当)とCUSTOM(オプション設定)の2グレード構成に。フォグランプは全車種オプション装備となった。
  • エコハイブリッドに関しては先述の通り7代目モデルを2011年12月まで継続販売した。
  • 5代目以降1.5トンクラス車の愛称として使用されていたキャンターガッツが当代では一旦消滅し、キャンターに統一された。
  • 2010年度グッドデザイン賞を受賞した。

2011年1月15日日産自動車との間で小型トラックの相互OEM供給を受けることに合意したことで「アトラスF24」のOEMとして「キャンターガッツ」が2ヶ月ぶりに復活する[5][6]

2011年5月9日、一部改良。フロントグリルの表記を「CANTER」から「Canter」に変更。

2011年6月14日、7代目生産終了以来設定されていなかった4WDを設定。標準キャブ車全車にトルク不等配分センターデフ+ビスカスLSD式を採用した全低床フルタイム4WDを、ワイドキャブ車全車にマニュアル式フリーホイールハブを採用したパートタイム4WDをそれぞれ設定した。また、ワイドキャブ車に超ロングボディー車が新設定された。

2012年5月18日、エコハイブリッドがフルモデルチェンジ。

  • ハイブリッドシステムは先代と同じパラレル式ディーゼルハイブリッドシステムであるが、変速機が5速INOMAT-IIから6速DUONICに変更され、超薄型ハイブリッドモーターをDUONICに内蔵した、世界初の「ハイブリッド用モーター内蔵デュアルクラッチ式トランスミッション」を搭載した。また、リチウムイオン電池もエネルギー効率の高い、高性能のラミネートタイプのリチウムイオン電池を新たに採用した。
  • エンジンは3.0Lの4P10(T2)・DOHC16バルブ・直噴コモンレールインタークーラーディーゼルターボエンジンを搭載し、再生制御式DPFとBlueTecシステムを組み合わせることで、ポスト新長期排出ガス規制と低排出ガス認定車(NOx、PM10%低減レベル)および九都県市指定低公害車で平成21年「超」も取得している。また、全車で平成27年度重量車燃費基準を20%以上オーバー達成することで、クラストップの低燃費を実現し、2012年度からの「エコカー減税」では自動車重量税と取得税が免税となった。

2012年11月8日、マイナーチェンジ。リアのロゴを「CANTER」から「FUSO Canter」に変更。

2012年11月14日、エコハイブリッドに搭載された「ハイブリッド用モーター内蔵デュアルクラッチ式トランスミッション」が、「2013年次RJCカー・オブ・ザ・イヤー特別賞」を商用車で初めて受賞。 2013年1月8日、上記の日産自動車との間で小型トラックの相互OEM供給を受けることに合意したことで、三菱ふそうトラックバスは日産自動車に「NT450アトラス」として当代のキャンターを供給開始。

2013年1月25日、エコハイブリッドがアイルランドの「Irish Green Commercial of the Year 2013」を受賞。

2013年2月7日、エコハイブリッドをオーストラリアで発表。

2013年4月19日、エコハイブリッドがアイルランドの「「Best Energy Efficient Product Award」(最優秀エネルギー効率化製品賞)を受賞。

ラインナップ[編集]

一部小型トラックで過半は普通トラックである。積載量は1.2tから1.5tのキャンターガッツと1.75tから最大4.8t(5t未満一杯)までのキャンターがある。また、ワイドボディにクラス唯一の後輪2軸(前後あわせて3軸)仕様の設定がある。

  • FB(キャンターガッツ)
  • FD(キャンターガッツ4WD)
  • FE(シングルキャブ全車、ダブルキャブ2WD)
  • FF(6x2、3軸車、リヤエアサス)
  • FG(シングルキャブ及びダブルキャブ4WD)
  • FH(日本ではファイターミニヨンの名で販売)

脚注[編集]

  1. 「新型キャンター」のイメージキャラクターに「矢沢永吉」を起用 三菱自動車プレスリリース(2002年6月18日)
  2. 世界初の小型商用車用の6速ATを開発 アイシン精機プレスリリース(2004年8月2日)
  3. これらフロントグリルにCANTERと表記されていない場合はフロントガラス下部に表記される。
  4. 総輪ディスクブレーキの全車種への採用は小型トラッククラス初。ただし、後に追加された4WDワイドキャブ車に限りこれまで通り総輪ドラムブレーキが採用される。
  5. 尚、OEMは歴代を通じて初である
  6. いすゞ・エルフ100UDトラックス・コンドル CARGO 1.15t~1.5t級とも兄弟車な為、4メーカーが同一車種を扱うという、異例の事態が発生。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]